2026年F1第3戦日本GP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)と、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長

【】今季初完走は「大きな前進」振動問題はチーム側と協力して試行錯誤【ホンダ/HRC渡辺社長インタビュー】

4月2日

 3月29日(日)、2026年シーズンのF1第3戦日本GPの決勝レースが行われた。ホンダがパワーユニット(PU)を供給するアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームは、ランス・ストロールがリタイアした一方で、フェルナンド・アロンソが18位で完走した。鈴鹿サーキットを訪れたホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、レースを振り返り、アストンマーティンとホンダが今シーズン初めて完走を果たしたことについて、大きな前進だと語った。

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──今シーズン、初めて完走しました。

渡辺康治HRC社長(以下、渡辺社長):「レース前の全体ミーティングで、マイク・クラックが『今日のレースは完走を目標に頑張ろう』という声出しをしてくれて、それでチームとしての方向性が定まり、一体感を持ってレースに臨むことができました。スターティンググリッドでも折原(伸太郎/HRCトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア)も、『全力で完走目指して頑張ります』と言ってくれました。さらにフェルナンド(・アロンソ)もグリッドで私のところに来て、日本語で『ガンバッテ!』と言ってくれました。おそらく、『ガンバリマス!』と言いたかったんだと思いますが、気持ちは十分伝わりました。ホンダのホームコースということで、フェルナンドもこのレースの重要性は理解していて、みんなで掲げた完走という目標を目指して、最後まで頑張ってくれました。中国GP以降、鈴鹿に向けてHRC Sakuraでホンダ・レーシング(HRC)とアストンマーティンのスタッフが協力してさまざまな対策を練り、こちらに来てからも現場スタッフが懸命に対応していました。単なる完走かもしれませんが、我々にとってはその努力が報われたという点で大きな前進です」

ホンダ渡辺社長インタビュー
2026年F1第3戦日本GP アストンマーティンのマイク・クラック(チーフ・トラックサイド・オフィサー/写真中央)と、ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア/写真右)
ホンダ渡辺社長インタビュー
2026年F1第3戦日本GP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)と、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長

──完走を目指すために、エンジンの回転数など何かパフォーマンス面で犠牲にしたところはあったのですか?

渡辺社長:「技術的なことなので、折原にも確認してほしいですが、私の認識としては前戦中国GPと同じで、そこからさらなる制限は加えていないと思います」(折原GMも「新たな制限は加えていません。これまで入れてきた玉の集大成が今回の完走です」と語っている)

──中国GPでランス・ストロールがリタイアした原因は「その後、特定して対策しています」と折原GMが日本GP前日に語っていますが、振動問題は解決したと考えていいのでしょうか?

渡辺社長:「中国GPの問題は振動とは別の問題で、それは解決しました。振動に関しては改善はしていますが、まだ完全に対処はできていません。この振動は車体との共振なのですが、車体側と一緒になってやらなければならないことが多すぎて、いろいろトライしているところです」

──ここまで好調のメルセデスやフェラーリは、パワーユニットだけでなく、ギヤボックスも自ら設計・製造しています。ホンダも第3期はギヤボックスを自社製造していたことがあります。今後HRCがギヤボックスを製造する可能性はありますか。

渡辺社長:「それはありません。将来的な選択肢のひとつになる可能性は全否定しませんが、現時点でやるという話はゼロです」

──完走したとはいえ、まだトップから大きく引き離されています。チーム内の雰囲気はいかがでしょうか?

渡辺社長:「土曜日にローレンス(・ストロール)さんらアストンマーティンの首脳陣と食事しながら長い時間話しをしました。ホンダの三部(敏宏/社長)も同席しました。その話し合いは主にどういうステップで競争力をつけていくかがメインとなっていました。さらに2027年を見据えた話し合いにも発展しました。詳しい中身は言えませんが、ワンチームでやっていくことが本当に大切だということをお互いに確認し合いました。また三部からは、HRCはとにかくレースに集中して、頑張ってほしいと励ましの言葉をいただいています」

ホンダ渡辺社長インタビュー
2026年F1第3戦日本GP アストンマーティンのエグゼクティブ・チェアマンを務めるローレンス・ストロールと、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長

 なお、渡辺社長はレース後、鈴鹿から同じヘリに乗って、東京へ向かっている。



(Text : Masahiro Owari)